GPUの仕組みとは?GPUやグラフィックボードとの違い・GPUの選び方のポイントを紹介

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GPUの性能は急速に進化し、コンピューター社会においてGPUの重要性はますます高まっています。本記事では、GPUの基本から最新の活用事例まで、幅広く解説します。GPUのことをよく知らない初心者の方はもちろん、ゲーマーやクリエイターの方、テクノロジーに興味がある方など、GPU性能向上のヒントや最新トレンドを学びたい方はぜひご覧ください。

また、AIや機械学習に興味がある方向けに、高性能GPUサービスも紹介します。本記事を通じて最適なGPU活用法と、技術革新の理解を深められるでしょう。

目次
  1. GPUとは?
    1. GPUとCPUの違い
    2. GPUとグラフィックボードの違い
  2. GPUのおもな用途
    1. 一般的なパソコンでの使用用途
    2. スーパーコンピューターでの使用用途
  3. 最先端分野で多く活用されている
  4. GPUを選ぶときの4つのポイント
    1. 用途に応じた性能
    2. メモリ容量
    3. 性能とコストのバランス
    4. 冷却性能の確認
  5. さくらインターネットのGPUサービスをご紹介
    1. 高火力 PHY
    2. 高火力 VRT
    3. 高火力 DOK
  6. まとめ
  7. 「高火力」シリーズの導入事例
    1. HarvestX株式会社様:「高火力 VRT」でAIモデルの学習時間を33%短縮
    2. ダイキン工業株式会社様:「高火力 PHY」で安定稼働と圧倒的コストメリットを実感

GPUとは?

GPU(Graphics Processing Unit)は、コンピューターやビデオの画像を描写するために必要な計算を処理する専用のハードウェアであり、グラフィックス処理装置と訳されます。1999年にNVIDIAが「GPU」を発明して以来、急速に進化し、現代のコンピューティングには不可欠な要素となりました。

近年では、動画配信サイトやSNSなど、映像や画像をより速く、きれいに映す手段が重視されており、GPUの重要性が増しています。たとえば、4K動画のストリーミングやリアルタイムでのビデオフィルター適用など、高度なグラフィックス処理が日常的におこなわれるようになりました。

GPUは以下のような高度な処理を効率的におこなえます。

  • 3Dグラフィックスのレンダリング
  • ビデオのエンコード/デコード
  • 画像処理フィルターの適用
  • 物理シミュレーション
  • 機械学習の計算

GPUは大量のデータを早く処理するための仕組みを持っており、複数のタスクをこなす並行処理機能にも優れているのです。
複数の機能により、GPUは単なるグラフィックス処理装置から、汎用的な高性能計算装置へと進化しており、最先端分野で多く活用されています。

GPUとCPUの違い

CPUとGPUは、コンピューター内で異なる役割を果たします。
以下の表はそれぞれの違いをあらわしたものです。

GPUCPU
役割グラフィックス処理、並列計算全般的な処理、制御
計算処理の種類並列処理に特化逐次処理に適している
コア数数百〜数千数個〜数十個
計算速度の違い特定の計算で高速汎用的な処理で高速

GPUは多数のコアを使用して並列処理をおこなうため、グラフィックス処理や大量データの同時処理に適しています。たとえば、1つの画像を構成する数百万のピクセルを同時に処理できます。

一方、CPUが適しているのは、少数の高性能コアでの複雑な逐次処理です。CPUは汎用性が高く、オペレーティングシステムの管理や複雑な計算など、さまざまなタスクをこなせます。

GPUとCPUは相互に補完し合う関係であり、最新のコンピューターシステムでは、双方の特徴を効果的に組み合わせ、全体的な性能を最大化しているといえるでしょう。

GPUとグラフィックボードの違い

GPUとグラフィックボードは密接に関連していますが、同じものではありません。GPUはグラフィックス処理をおこなう半導体チップそのものです。一方、グラフィックボードはGPUを含む周辺回路や冷却システム、メモリなどを搭載した拡張カード全体を指します。

グラフィックボードには以下のような要素が含まれます。

  • GPU:グラフィックス処理の中核
  • VRAM(ビデオRAM):グラフィックスデータを一時的に保存
  • 冷却システム:ファンやヒートシンクによる熱管理
  • 電源管理システム:安定した電力供給を保証
  • 出力ポート:モニターなどの表示装置との接続

GPUのおもな用途

GPUは高性能な画像処理と並行処理を得意としており、さまざまな分野で活用されています。
GPUのおもな用途は以下に分けられます。

  • 一般的なパソコンでの使用用途
  • スーパーコンピューターでの使用用途

一般的なパソコンでの使用用途

GPUの一般的なパソコンでの使用用途は以下のとおりです。

  • ゲーミング
  • 動画編集
  • 3DCG制作
  • 写真編集
  • ストリーミング

それぞれ解説します。

【ゲーミング】
高解像度、高フレームレートのゲームプレイを可能にします。GPUの高度な機能により、リアルタイムレイトレーシングをはじめとするレンダリング技術が飛躍的に進歩しました。最新のAAA級ゲームタイトルでは、光の反射や屈折など、物理現象を忠実に再現したより写実的なグラフィックスが実現されています。

【動画編集】
GPUは4Kや8K動画の編集や、エフェクト処理を高速化します。Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveなどのソフトウェアでは、映像にエフェクトをかけたり、色を調整したりする際に、その結果をすぐに確認できるプレビュー機能(リアルタイムプレビュー)や、編集した動画を最終的なファイルに変換する作業(レンダリング)を高速に実現しています。

【3DCG制作】
複雑な3Dモデルのレンダリングを高速化します。Blenderや3ds Maxなどのソフトウェアでは、GPUレンダリングにより、従来のCPUレンダリングと比べて何倍もの速度でシーンを生成できます。

【写真編集】
大量の写真データの処理や高度な編集作業を効率化します。Adobe PhotoshopやLightroomなどのソフトウェアでは、グラフィック性能を高め、色味や鮮やかさ、ホワイトバランスといった基本的な調整に加えて、歪み補正やノイズ除去など、より高度な画像処理(RAW現像)なども高速化しています。

【ストリーミング】
高品質な動画配信を可能にします。OBSなどのストリーミングソフトウェアでは、GPUエンコーディングを使用して、CPUの負荷を軽減しながら高品質な配信をおこなっています。

2024年現在では、ミドルタイプのパソコンであっても1440p解像度という高解像度でのゲームプレイやAdobe Premiere Proでの4K動画編集を快適におこなえます。
たとえば、NVIDIA GeForce RTX 3060やAMD Radeon RX 6700 XTクラスのGPUを搭載したパソコンであれば、負担のかかるとされている作業も問題なくおこなえるでしょう。

 

スーパーコンピューターでの使用用途

スーパーコンピューターとは、通常のコンピューターよりも圧倒的に高い演算能力を持つ大規模なコンピューターシステムです。GPUは以下のような分野で利用されています。

  • 気候変動シミュレーション
  • 分子動力学シミュレーション
  • 宇宙物理学研究
  • 人工知能研究

それぞれ解説します。

【気候変動シミュレーション】
地球規模の気候モデルを高精度でシミュレーションし、将来の気候変動予測に貢献しています。

【分子動力学シミュレーション】
新薬開発や材料科学の分野で、分子レベルの相互作用をシミュレーションし、研究開発を加速しています。

【宇宙物理学研究】
銀河形成や宇宙の大規模構造のシミュレーションをおこない、宇宙の成り立ちの解明に貢献しています。

【人工知能研究】
大規模なディープラーニング(深層学習)モデルの訓練や、複雑なAIアルゴリズムの実行に活用されています。

世界最速のスーパーコンピューターの多くがGPUを利用しています。
具体的には、アメリカのオークリッジ国立研究所の「Frontier」や「Summit」などが有名です。
スーパーコンピューターは、科学技術の発展や社会課題の解決に大きく貢献しているといえるでしょう。

最先端分野で多く活用されている

GPUの市場は急速に成長しており、とくにAIやVR技術の発展に伴い、重要性がますます高まっています。

とくにNVIDIAでは人工知能やディープラーニングの分野で圧倒的なシェアを持っており、CUDA(Compute Unified Device Architecture)と呼ばれる並列コンピューティングプラットフォームが広く採用されています。

GPUはAIやVR技術において重要な位置付づけにあり、とくにChatGPTや生成AIのような大規模言語モデルの学習には、大量のデータを処理できるGPUの能力が不可欠です。
たとえば、OpenAIのGPT-3モデルの学習には、数千個のGPUが使用されたといわれています。また、Stable DiffusionなどのAI画像生成モデルも、GPUの並列処理能力を活用し、高速かつ高品質な画像生成を実現しています。

高性能GPUの需要が爆発的に高まる一方で、供給が追い付いていない状況です。特とくに、データセンター向けの高性能GPUの不足が深刻化しています。

GPUを選ぶときの4つのポイント

GPUを選ぶ際のポイントは以下の4つです。

  • 用途に応じた性能
  • メモリ容量
  • 性能とコストのバランス
  • 冷却性能の確認

それぞれ解説します。

用途に応じた性能

用途によって必要なGPU性能は異なります。たとえば、4Kゲーミングには高性能なGPUが必要ですが、一般的なオフィス作業であればCPUに組み込まれたGPUで十分です。自分のおもな用途に合わせて適切な性能のGPUを選びましょう。

メモリ容量

GPUのメモリ容量は、処理できるデータ量に直結します。高解像度のゲームや大規模な3D制作には、より多くのメモリ容量が必要です。パソコンへ負荷がかかる作業が想定される場合には、4GB以上のメモリを搭載したGPUがおすすめです。

性能とコストのバランス

最新・最高性能のGPUは非常に高価です。自分の予算と必要な性能のバランスを考えて選ぶ必要があります。中古品や前世代モデルを選択肢に入れれば、コストを抑えつつ高性能なGPUの入手も可能でしょう。

冷却性能の確認

高性能なGPUはを使用すると、大量の熱が生じます。長時間安定して使用するには、適切な冷却システムを持つモデルを選ぶことが重要です。冷却ファンの数や大きさ、ヒートシンクの設計などを確認しましょう。

さくらインターネットのGPUサービスをご紹介

ここからは、GPU初心者からプロのクリエイターまで、さまざまなニーズに対応したGPUサービスを紹介します。さくらインターネットは2016年より、大規模言語モデルなどの生成AIを中心とした利用を想定したGPUクラウドサービス「高火力シリーズ」を提供しています。

当社が運営する石狩データセンターでは、100%再生可能なエネルギー電源を利用しており、これによりCO2排出ゼロでのAI開発を実現しています。さくらインターネットは、国内のAI市場をより盛り上げるため、高性能なGPUを広くあまねく提供することを目的に活動しています。

  • 高火力 PHY
  • 高火力 VRT
  • 高火力 DOK

高火力 PHY

高火力 PHYは、「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」搭載のベアメタルサーバーを提供するサービスです。複雑なデータセットの解析や大規模モデルのトレーニング、機械学習や科学シミュレーションに適しています。

高度なAI研究や大規模な機械学習プロジェクトをおこなうプロフェッショナルや研究機関におすすめです。最高レベルの性能と柔軟性を求める上級ユーザーに最適なサービスといえるでしょう。

高火力 VRT

「高火力 VRT」は、VM型GPUクラウドサービスです。NVIDIA製のハイパフォーマンスGPUを仮想マシン上で提供し、クラウドの利便性をそのままにご利用いただけます。時間単位、日単位、月単位と柔軟な契約形態を採用しており、コスト効率を重視するプロジェクトにも最適です。機械学習やディープラーニング、リアルタイム性が求められるAIワークロードにも対応でき、短期間でGPU環境が必要な場合にも便利です。さらに、さくらのクラウドの機能と組み合わせることで、学習モデルを利用したアプリケーションを一元的に管理できます。コストを抑えつつ高性能なGPU環境を必要なときだけ利用したい研究者や開発者に最適なサービスです。

高火力 DOK

高火力 DOKは、高性能なNVIDIA GPUを低価格で提供するコンテナー型GPUクラウドサービスです。実行環境をパッケージングしたDockerイメージを用意していただくだけで、毎回の開発環境の構築や設定の必要なく、GPUを使ったタスク実行ができるサービスです。

「NVIDIA V100 TensorコアGPU」を、従量課金制で1秒あたり0.06円、「NVIDIA H100 TensorコアGPU」を0.28円で利用可能。生成AIのスポットでの利用や定期的な処理実行に適しています。画像生成AIや機械学習を始めたい方におすすめです。

まとめ

GPUは現代のコンピューティングにおいて不可欠な存在となっています。グラフィックス処理から人工知能、科学計算まで、幅広い分野で活用されており、GPUの重要性は年々増しています。初心者からプロフェッショナルまで、さまざまなニーズに対応したGPUサービスが登場しており、自分の目的に合わせて適切なGPUやサービスの選択が重要です。技術の進歩とともにGPUの可能性はさらに広がっており、今後も注目が集まる分野であることは間違いありません。

「高火力」シリーズの導入事例

さくらインターネットの「高火力シリーズ」は、AIモデルの学習・推論や大規模データ解析に対応した高性能GPUクラウドサービスです。研究開発から商用利用まで、幅広いAI活用を支える計算基盤として活用されています。

HarvestX株式会社様:「高火力 VRT」でAIモデルの学習時間を33%短縮

HarvestX(ハーベストエックス)社は、AIロボティックスによる完全自動イチゴ栽培システムの開発において、高性能GPUを求めて「高火力 VRT」 を導入しました。

これにより、AIモデルの学習時間を従来比で約33%短縮。自動授粉ロボットのイチゴの花の検出率は99%以上に達し、安定した運用・開発サイクルの高速化につながっています。また、GPUリソース確保の困難さや国内データ保管に対する安全性の不安といった課題も解消されました。

➡︎事例についてくわしくはこちら

ダイキン工業株式会社様:「高火力 PHY」で安定稼働と圧倒的コストメリットを実感

業務用エアコン大手のダイキン工業とフェアリーデバイセズの共同研究では、現場作業員向けの遠隔支援や熟練工の技術継承をめざしたAI解析モデル開発を進めています。

AI開発には、高性能GPUの安定的な利用が必須であるため、ベアメタル型クラウドサービス「高火力PHY」が採用されました。導入後は必要なGPUリソースを十分に確保できるようになり、コスト面でもメリットを実感。安定稼働によって解析モデルのスムーズな開発に貢献しています。

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さくマガ編集部
制作者

さくらインターネット株式会社

さくマガ編集部

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