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AIエージェントの作り方|ノーコードツールからPython開発まで

AIエージェントの作り方|ノーコードツールからPython開発まで

従来のチャットボットと異なり、ユーザーの目標に向けて自律的に思考し、タスクを完遂する「AIエージェント」の導入が、ビジネスの現場で加速しています。その背景には、RPAや従来型のチャットボットでは対応しきれない「非定型業務の自動化ニーズ」の高まりがあります。AIエージェントは、こうした複雑な業務を人手に近い形で処理できる手段として注目を集めています。

本記事では、AIエージェントを「実際につくる」ことに特化した実践ガイドです。Dify(ディフィー)、LangChain(ラングチェーン)といったツールの選び方から、具体的な構築ステップまで詳しく解説します。
なお、AIエージェントの概要や仕組みといった基本情報については、下記をご覧ください。

AIエージェントとは?生成AIとの違いから導入コスト・GPU選定まで解説

目次
  1. 1. AIエージェントの基本概念と仕組み
    1. 1-1. 生成AIやチャットボットとの違い
    2. 1-2. 自律動作を支える3つの構成要素
  2. 2. 開発方式(作り方)の選び方とツール比較
    1. 2-1. プログラミング不要のノーコード・ローコードツール
    2. 2-2. 高度なカスタマイズが可能なフレームワーク
  3. 3. AIエージェントをつくる4つのステップ
    1. 3-1. 解決したい課題と役割の定義
    2. 3-2. 開発ツールと必要なAPIの準備
    3. 3-3. プロンプト・指示文の設計
    4. 3-4. 検証・評価と改善の繰り返し
  4. 4. AIエージェントの活用事例と運用のポイント
    1. 4-1. ビジネス現場での具体的な活用シーン
    2. 4-2. 本格運用で押さえたい2つのポイント
  5. まとめ

1. AIエージェントの基本概念と仕組み

AIエージェントは、単に質問に答えるだけでなく、目標達成に向けて自律的に考え、行動するAIシステムです。ここでは、生成AIやチャットボットとの違いと、自律的な動作を支える仕組みについて順に整理します。

なお、AIエージェントや自律型AIについては以下の記事でも詳しく解説しています。

AIエージェントとは?生成AIとの違いから導入コスト・GPU選定まで解説

自律型AIとは?生成AIとの違いや仕組み、活用事例を解説

1-1. 生成AIやチャットボットとの違い

生成AIは、テキストや画像などのコンテンツを生成する技術の総称です。ChatGPTで使われるGPT-5などに代表されるLLM(大規模言語モデル)もその一種ですが、LLM自体はあくまで「確率にもとづいて次に出現する可能性の高いトークン(≒言葉)を選択する仕組み」であり、基本的には入力に対して出力を返す単発の処理で完結します。自律的に外部ツールを操作したり、複数ステップの処理を組み立てたりする機能は持っていません。

これに対して、AIエージェントは、LLMを「思考エンジン」として活用しながら、目標達成に必要なツールの呼び出しや処理手順を自律的に組み立ててタスクを遂行します。

LLMとエージェントの役割は次のとおりです。

  • LLM:次に何をすべきか、どのツールをどう呼び出すかを判断し、指示を出す 
  • エージェント:LLMの指示にもとづいてツールを実行し、結果をLLMに返す

この「LLMが判断 → エージェントが実行 → 結果をLLMに返す」というループが、タスク完了まで繰り返されます。
たとえば「競合他社の最新情報を収集し、レポートにまとめる」といった指示に対して、AIエージェントはWeb検索・情報整理・文章生成といった一連の処理を自らの判断で順番に実行できます。

このように「自律型AI」とも呼ばれるAIエージェントは、生成AIやチャットボットとは役割や性質が明確に異なります。

1-2. 自律動作を支える3つの構成要素

AIエージェントの自律的な動作は、一般的に「Planning」「Memory」「Tool Use」という3つの機能によって支えられています。

1.思考のプロセスを管理する「Planning」

Planningは、目標達成に向けた行動計画を立てる機能です。与えられたゴールを複数のサブタスクに分解し、実行順序を自律的に決定します。
たとえば「来月の販促メールを作成する」という指示に対して、「売上データの確認」「競合キャンペーンの調査」「文面の生成」といった手順を自動的に組み立てます。

2.文脈や情報を保持する「Memory」

Memoryは、会話の流れや過去の処理結果を保持する機能です。短期記憶(セッション内の文脈保持)と、長期記憶(データベースへの情報保存)の2種類があります。
顧客情報や社内ナレッジをMemoryとして活用することで、より精度の高い応答が可能になります。

3.外部サービスを実行する「Tool Use」

Tool Useは、外部のAPIやツールと連携して実際のアクションを実行する機能です。Web検索、カレンダー、メール、社内システムなど多様なサービスと連携できます。
たとえば会議の日程調整では、参加者の空き時間をカレンダーAPIで確認し、招待メールを自動送信するといった使い方が可能です。

これら3つの要素は独立して機能するのではなく、Planningがタスクを分解し、Memoryが必要な情報を参照しながら、Tool Useによって外部アクションを実行するという形で相互に連携します。
この連携こそが、AIエージェントの自律性を支える中核的な仕組みです。

2. 開発方式(作り方)の選び方とツール比較

AIエージェントの構築方式は、大きく「ノーコード/ローコードツール」と「Pythonベースの開発フレームワーク」の2つに分けられます。チームの技術力や開発目的によって適したツールが異なるため、それぞれの特徴を把握したうえで選択しましょう。

項目ノーコード/ローコード開発フレームワーク
おもな対象者非エンジニア、プロトタイプ作成者エンジニア、開発担当者
メリット導入が容易、開発スピードが速い自由度が高い、高度な制御が可能
デメリットカスタマイズに限界がある学習コスト・保守コストが高い
代表的なツールDify、n8nLangChain、CrewAI

2-1. プログラミング不要のノーコード・ローコードツール

プログラミングの知識がなくても、視覚的な操作でAIエージェントを構築できるのがノーコード/ローコードツールです。実証実験(PoC)や小規模な業務自動化を迅速に試したい場合に適しています。

直感的な操作で開発できる「Dify」

Dify(ディフィー)は、フローベースのUIでAIエージェントやチャットボットを構築できるオープンソースのプラットフォームです。OpenAIやAnthropicなど主要なLLMをAPI経由で利用できるほか、PDFや社内文書をナレッジとして取り込むRAG(外部知識を参照しながら回答を生成する手法)機能も標準搭載されています。

ノードをつなぐフロー設計により、プログラミング不要で短期間にプロトタイプを構築できます。クラウド版と自己ホスト版の両方が提供されており、セキュリティー要件に応じて環境を選択できる点も特徴です。
「まずAIエージェントを試したい」「社内文書を活用したRAGを手軽に構築したい」といったケースに適しています。

RAGについては以下の記事でも解説しています。

RAGとは?LLMを拡張する検索拡張生成の仕組みと実装方法

ワークフロー自動化に強い「n8n」

n8n(エヌエイトエヌ)は、複数のWebサービスやAPIを連携させてワークフローを自動化できるローコードツールです。
Slack、Google Workspace、Salesforceなど、数百以上の外部サービスとのコネクターが用意されており、AIエージェントにおけるTool Useを視覚的に設計できる点が強みです。

たとえば、Slackに届いた問い合わせをトリガーにLLMが回答を生成し、その結果をGoogleスプレッドシートに記録するといった一連の処理を、コードなしで構築できます。
すでに複数のSaaSを利用しており、それらをAIで連携させたい場合に有力な選択肢です。

2-2. 高度なカスタマイズが可能なフレームワーク

より複雑なロジックや独自要件に対応したい場合は、Pythonベースの開発フレームワークが適しています。実装の自由度が高い一方で、一定のエンジニアリング知識が求められます。

代表的なフレームワーク「LangChain」

LangChain(ラングチェーン)は、LLMを使ったアプリケーション開発のためのPythonフレームワークです。Planning・Memory・Tool Useといった機能がモジュール化されており、これらを組み合わせることで柔軟なエージェントを構築できます。

OpenAIやGoogle、ローカルモデルなど多様なLLMに対応しており、公式ドキュメントやコミュニティも充実しています。

さらに、LangChainと連携して利用できるLangGraph(ランググラフ)などのライブラリーも登場しており、より複雑な制御フローの設計にも対応可能です。既存システムとの連携や細かな制御が求められる本格開発に適しています。

マルチエージェント構築に強い「CrewAI」

CrewAI(クルーエーアイ)は、複数のAIエージェントを連携させる「マルチエージェント」構成に特化したフレームワークです。各エージェントに役割を持たせ、協調動作させることで、単一エージェントでは難しい複雑なタスクにも対応できます。

たとえば「リサーチ担当」「分析担当」「レポート作成担当」といった役割分担を設定し、連携させながら最終成果物を生成することが可能です。高度な業務自動化を実現したい場合に適しています。

「複数の専門エージェントに分業させたい」といった要件がある場合に、有力な選択肢です。

3. AIエージェントをつくる4つのステップ

ノーコードツールかフレームワークかを問わず、実用的なAIエージェントを構築するための基本プロセスは共通しています。

実装に着手する前に、まずは以下のステップに沿って全体設計をしっかり固めることが重要です。

3-1. 解決したい課題と役割の定義

最初に取り組むべきは、「このエージェントに何を解決させるのか」を明確にすることです。目的があいまいなまま開発を始めると、プロンプト設計やツール選定で迷走し、手戻りが増える原因になります。

目的を明確にするコツは、以下の3点を言語化することです。

  • 対象業務(例:競合調査、日程調整)
  • ゴール(例:レポートの完成、招待メールの送信)
  • 利用シーン(例:商談前の準備、社内チャットでの応答)

これらを具体化することで、その定義がそのままプロンプト設計の土台になります。

3-2. 開発ツールと必要なAPIの準備

役割が定まったら、使用するツールとAPIを揃えます。Difyを利用する場合はアカウント登録と対象LLMのAPIキー取得、フレームワークで開発する場合はPython環境の構築とライブラリーのインストールが必要です。また、Tool Useで連携する外部サービスのAPIもこの段階で用意しておきます。

たとえば、Web検索にはSerper API、社内システムと連携する場合は認証情報の取得が必要になります。あわせて、APIのレートリミット(単位時間あたりのリクエスト上限)や利用規約も事前に確認しておくことで、実装後のトラブルを防げます。

3-3. プロンプト・指示文の設計

AIエージェントの品質は、プロンプト設計に大きく依存します。役割定義で明確にしたゴールをもとに、「役割」「行動ルール」「出力形式」を具体的に設計しましょう。

ここでとくに意識したいのは、「制約条件の明示」です。

エージェントがおこなうべきことだけでなく、避けるべきことを明確に定義することで、想定外の動作を防ぎやすくなります。また、「箇条書きで3点以内」「JSON形式で出力」など出力形式を指定しておくと、後続処理への組み込みもスムーズになります。

3-4. 検証・評価と改善の繰り返し

構築したエージェントは、必ず実際の利用シナリオで動作検証をおこないます。期待通りの出力が得られるか、ツール連携が正しく機能するか、エラー時に適切に処理されるかを確認し、問題があればプロンプトやフローを修正します。

評価の際は、「成功パターン」だけでなく「失敗パターン」も意図的に検証することが重要です。想定外の入力を与えることで、挙動の限界やリスクを把握できます。

また、以下のような指標を設定すると、改善状況を定量的に把握しやすくなります。

  • 正答率
  • タスク完遂率
  • レスポンス時間
  • ユーザー満足度

加えて、とくに注意すべきリスクが、ハルシネーション(もっともらしい誤情報を生成する現象)です。

AIエージェントでは、この誤情報が判断の根拠として使われると、後続のツール実行や意思決定にも影響し、誤りが連鎖的に拡大する恐れがあります。そのため、出力内容を人間が最終確認する体制を初期段階から整えておくことが重要です。

精度が安定してきた段階で対象業務や利用範囲を段階的に拡大するスモールスタートのアプローチをとることが、導入成功率を高めます。

4. AIエージェントの活用事例と運用のポイント

AIエージェントはすでに多くの企業で実務導入が進んでおり、業種を問わずさまざまな場面で成果を上げています。ここでは、具体的な活用シーンと本格運用時の留意点を解説します。

4-1. ビジネス現場での具体的な活用シーン

AIエージェントの効果がとくに発揮されやすいのは、定型的でありながら、情報収集や加工を伴う業務です。

社内FAQ・情報検索の自動化

社内規定やマニュアル、過去の議事録などのドキュメントをナレッジとして登録し、従業員からの問い合わせに自動回答するエージェントは、導入効果が高く実績も豊富です。

SlackやMicrosoft Teamsと連携すれば、チャットツールから直接質問できる環境を構築できます。担当者不在時でも即時に回答できるため、人事・総務・情報システム部門の工数削減に効果的です。

これらは、DifyのRAG機能やn8nとSlackの連携を活用すれば、比較的短期間で実装できます。

営業・マーケティング支援

競合情報のリサーチ、顧客向け提案資料のドラフト作成、メール文面の生成など、情報収集や文書作成業務をAIエージェントが代行するユースケースも広がっています。

たとえば、商談相手の企業名を入力するだけで、Webから最新情報を収集しサマリーを自動生成するエージェントを構築すれば、商談前の調査時間を大幅に短縮できます。

また、CrewAIを使えば、「リサーチ」「分析」「文書作成」といった役割を複数のエージェントに分担させる高度な自動化も実現可能です。

4-2. 本格運用で押さえたい2つのポイント

PoCを超えてAIエージェントを本番環境で安定運用するには、インフラと安全性の両面での準備が欠かせません。ここでは、とくに重要な2つのポイントを紹介します。

計算リソース

マルチエージェント構成や大量ドキュメントを扱うRAG、リアルタイム応答が求められるケースでは、CPUのみでは処理性能が不足する場合があります。このようなケースでは、推論処理を高速化できるGPU環境の有無が、システムの応答速度や実用性を大きく左右します。

一方で、オンプレミスでGPUサーバーを導入するには、高額な初期投資や運用負担が課題となります。そのため近年では、必要に応じてGPUリソースを利用できるクラウドサービスを採用する企業が増えています。

セキュリティー

AIエージェントが機密情報や個人情報を扱う場合、セキュリティー対策は不可欠です。とくに重要なのは、「データがどこで処理され、どこに保管されるか」というデータ主権の確保です。

国内データセンターで処理が完結する環境を選ぶことで、情報漏えいリスクの低減に加え、社内ポリシーや法令要件への対応もしやすくなります。

まとめ

AIエージェントの構築では、Planning・Memory・Tool Useの仕組みを理解したうえで、自社の技術レベルや目的に合った開発方式を選ぶことが出発点です。

ノーコードのDifyやn8nを使えば、専門知識がなくても短期間でプロトタイプを構築でき、LangChainやCrewAIを活用すれば、より複雑な要件にも対応可能です。いずれの場合も、「目的の明確化」「プロンプト設計」「反復的な改善」が実用化への近道となります。

また、本番運用を見据える場合は、処理性能を支える計算リソースと機密情報を守るセキュリティーの両面からインフラを選ぶことが重要です。さくらインターネットの「高火力」シリーズは、AIワークロードに最適化されたGPUクラウドサービスで、コンテナ型(DOK)、VM型(VRT)、ベアメタル型(PHY)から用途に応じて選択できます。国内完結の環境のため、機密情報を扱うAIエージェント開発でも安心して利用できます。

実際の活用イメージとしては、こちらの導入事例をご参考にしていただけます。

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さくマガ編集部
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さくマガ編集部

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